輪止めとは?正しい使い方・必要性・注意点を確認しておこう

車のタイヤに設置されている輪止めには、事故を防止する役割があります。

しかし、輪止めの必要性について疑問を感じている方もいるでしょう。

この記事では、輪止めの必要性や効果、正しい使い方などについてご紹介します。

さらに、輪止めの種類や特徴、使い方についても解説します。

ほかにも、輪止めの設置の有無による事故事例についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

車の輪止めとは?必要性と効果を知っておこう!

輪止めの読み方は「わどめ」です。

「輪留め」「車輪止め」「歯止め」「車止め」などと呼ばれる場合もありますが、どの読み方であっても同じ用途で使われています。

輪止めは、駐車中の車のタイヤが動き出すことを防ぐことを目的として、車のタイヤと地面の間に置いて使用します。

輪止めの必要性と効果

輪止めは、停車中のトラックや普通車両の事故防止に効果を発揮する道具です。

無人のトラックや車両が動き出してしまうと止める手段がなく、最悪、人を巻き込む重大な事故につながる可能性があります。

駐車中の車は、ギアをパーキングに入れ、サイドブレーキをしっかりと引いておけば安心だと考えている人も多いでしょう。

しかし万が一、ギアやブレーキが故障していた場合、車の輪止めは重大な事故の防止につながります。

また、運送を生業にしている場合、安全面の意識向上や荷主からの信頼を得るためにも、輪止めの活用は有効です。

輪止めの正しい使い方と注意点

トラックや一般車両に輪止めを使用する際は、正しい使い方で設置することが重要です。

輪止めは、タイヤの前後に1つずつ挟むようにタイヤと地面の間に挿し込んで設置します。

設置後は、タイヤがしっかりと固定されているか確認しておきましょう。

下記では、事故につながりやすい場面での使い方を紹介します。

【坂道での輪止めの使い方】

1.ギアを入れる

2.サイドブレーキを引く

3.輪止めを使用する

【荷物の積み下ろし等に利用するバースでの輪止めの使い方】

1.サイドブレーキを引く

2.輪止めを置く

上記の場面以外でも、常に事故の可能性があるかもしれないという意識が大切です。

輪止めの設置を習慣づけるためには、特定の場面に限らず常に輪止めを使用すると決めておくとよいでしょう。

輪止めの種類と特徴

輪止めには数多くの種類があり、それぞれ特徴も異なります。

主に輪止めに使用されている素材の種類は下記のとおりです。

  • ゴム製
  • 木製
  • プラスチック製
  • ポリエチレン製
  • 廃棄樹脂プラスチック製
  • 鉄製

運送・物流業のトラックで使用する輪止めは、滑りにくいゴム製や木製が人気です。

また、頑丈でサイズの種類が豊富なポリエチレン製も人気があります。

そのほかの種類についても特徴を詳しくみていきましょう。

ゴム製

ゴム製の輪止めは、グリップ力が高いため、滑りにくく安定しやすいのが特徴です。

ただし、重さがあるものが多く、使いにくいと感じる人もいるでしょう。

価格は、比較的高価なものが多い傾向です。

木製

木製の輪止めは、代表的な素材として使用されています。

滑りにくい特徴はありますが、木の種類によって、滑りやすさが異なる点に注意が必要です。

また、適切な手入れや保管をしないと割れてしまったり、経年劣化によって腐食したりして使用できなくなる場合があります。

手作りで制作されるものが多いため、価格は高めに設定されています。

プラスチック製

プラスチック製の輪止めは、腐食に強く軽量なのが特徴です。

比較的安価で購入できて、カラーバリエーションも豊富にあります。

ただし、路面状況や設置角度によっては滑りやすくなることもあるため、使用状況に注意が必要です。

ポリエチレン製

ポリエチレンはプラスチックの一種で、合成樹脂に分類される素材です。

ポリエチレン製の輪止めは、軽量で扱いやすく、カラーバリエーションが豊富なのが特徴です。

また、比較的安価なものが多いので、手軽に購入しやすいでしょう。

廃棄樹脂プラスチック製

廃棄樹脂プラスチックはハイプラとも呼ばれ、輪止めの種類の中でも比較的安価に手に入れられるのが特徴です。

耐久性も高く、形も豊富にあり人気を集めている素材です。

輪止めとしての機能性も高く、タイヤを確実に固定できます。

鉄製

鉄製の輪止めのなかには、コンパクトに折りたためるものがあり、持ち運びやすいのが特徴です。

ただし、積雪時に使用すると滑ってしまうため、使用するのは控える必要があります。

使用する場面に応じて、他の素材と使い分けるとよいでしょう。

輪止めのサイズの選び方

輪止めは、車の大きさによってサイズを選ぶのがおすすめです。

製品によって誤差はあるものの、車の大きさで選ぶ場合は下記のサイズを参考にしてください。

乗用車や小型トラックのサイズ目安幅:100mm、高さ:120mm、長さ:220mm
中型・大型トラックのサイズ目安幅:120mm、高さ:130mm、長さ:240mm

中型・大型トラック用は、乗用車や小型トラックでも使用できますが、小型用と比べると重さがあり、収納スペースが必要になる点にご注意ください。

また、乗用車・小型トラック用を中型・大型トラックに使用すると、輪止めを乗り越えてしまう可能性があるので、大きいサイズを使うようにしましょう。

輪止めの事故事例

この章では、輪止めを使用していなかったことで起きてしまった事故事例を2つご紹介します。

また、輪止めの外し忘れによる事故事例もご紹介しますので、参考にしてください。

輪止めの設置忘れによる事故【死亡事故】

無人のダンプトラックが逸走して、作業員を背後から轢いてしまった死亡事故の発生状況や原因は下記のとおりです。

発生状況・下水道工事のために片側交互通行規制を行なっていた・被災者は、工事予告版の前で交通誘導をしていた・解体用重機を運搬したダンプトラックを次の作業のためにエンジンをつけたまま作業帯に停車させていた・無人となったダンプトラックが逸走して、被災者は背後から激突されて轢かれてしまった・駐車ブレーキや輪止めは使用されていなかった
原因・ダンプトラックを傾斜地に停車させてしまったこと・運転手が駐車ブレーキや輪止めの設置をせず、車両の逸走を防止していなかった・日頃より労働者の安全衛生意識が希薄であった・変更した作業方法に適した駐車方法を検討しなかった

事業者は、作業場所での不適切な作業方法や不安全行動を確認した場合は、指導を行うことが重要です。

輪止めの設置忘れによる事故【重傷事故】

乗客を乗せたバスが、運転手がいないまま動き出した重症事故の発生状況や原因は下記のとおりです。

発生状況・県道脇の駐車場にて、乗客が乗車したことを確認したバスの運転手は、発車の準備をして車両脇の扉を閉めるために降車した・バスが動き出したことに慌てた運転手は急いでバスに飛び乗ろうとして転倒してしまった・バスは右前方に停車していた他のバスに衝突し、そのまま県道路を横切りブロック塀に衝突して停車した・乗客に怪我はなかったものの、転倒した運転手が重症をおった・駐車場は、県道に向かって最大6%の傾斜であった
原因・バスのサイドブレーキがしっかり引けていなかった・出発に気を取られ、少しの降車であれば大丈夫と対応を誤った・エンジンをつけたまま、輪止めの設置もしていなかった・乗降場所が傾斜地であることへの認識が甘かった

上記のような事故を防止するためには、停車時の基本操作を徹底することが大切です。

また、車両を離れる際は、エンジンを切る、輪止めの設置をするなどの対策が重要になります。

輪止めの外し忘れによる事故【負傷者なし】

輪止めを設置した状態で車両を動かしてしまい、輪止めが飛んで周りの物や通行者にぶつかってしまった事故(負傷者なし)の発生状況や原因は下記のとおりです。

発生状況・危険排除が目的の災害現場での作業終了後・現場から引き上げる際、取り外し忘れた輪止めが飛んだ・輪止めが近くにあった物や通行者にぶつかった・幸い通行者には怪我はなかった
原因・運転手の注意不足だけでなく、全隊員が安全管理ができていなかった

上記の事故では、負傷者はいなかったものの、重大な事故につながる恐れがあります。

輪止めを設置していることの目印を、ミラーやフロントガラスなどにつける対策が必要となるでしょう。

輪止めに関する気になる質問

この章では、輪止めに関する気になる質問4つをご紹介します。

  • 輪止めの設置は義務?
  • 輪止めには意味がない?
  • 輪止めの正しい向きは?
  • トラック協会で定められている輪止めのルールは?

輪止めの設置方法などに悩む方の参考になる質問を厳選して解説しますので、ぜひ参考にしてください。

輪止めの設置は義務?

輪止めの設置は、法律では義務化されていないため、輪止めをしていなくても違反にはなりません。

ただし、輪止めは安全確保に重要な役割を担っており、トラック協会交通安全協会も推奨しています。

輪止めをしていれば防げる事故も多いため、仕事に限らずプライベートでも使用するとよいでしょう。

輪止めには意味がない?

輪止めの設置は、事故防止に大きな意味を持ちます。

車は路面状況などが理由でタイヤが回転して勝手に動き出し、大きな事故につながる危険性があります。

特に車体の大きいトラックは、万が一の事故の発生を防止するために輪止めをしておく必要があるでしょう。

輪止めの正しい向きは?

輪止めには、上下で設置する向きが決まっています。

平らになっている方を地面側に、カーブしている方をタイヤ側になるように向けて設置してください。

また、平坦に感じる道路では、トラックが前後のどちらに動いても大丈夫なように、タイヤの前後に1つずつ挟むように設置しましょう。

前後の輪止めとタイヤが一直線になるように、輪止めがタイヤに対して斜めにならないようにするのがポイントです。

トラック協会で定められている輪止めのルールは?

トラック協会や交通安全協会では、輪止めの設置を推奨しています。

ただし、あくまでも事業所・ドライバーの判断に任されているため、法律違反にはなりません。

しかし、法律の定めはなくても、作業時の安全確保や事故防止のために輪止めを活用しましょう。

輪止めは事故防止のために大きな効果を発揮する

輪止めは、万が一の事故を防ぐために大きな効果を発揮します。

輪止めにはゴム製やプラスチック製など、さまざまな種類があるため、使用する状況によって使い分けるのがおすすめです。

また、輪止めは車体の大きさによって適切なサイズを選ぶとよいでしょう。

輪止めを使用する際は、タイヤと地面との間にしっかりと差し込んで使うことが大切です。

より固定を強化するためには、タイヤの前後に輪止めを設置しましょう。

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