大型特殊免許で運転できる車両や取得方法・費用について解説

大型特殊免許は、クレーン車やトラクターなど特殊な車両を運転するために必要な免許です。

大型特殊免許を所持していれば、さまざまな作業現場で働くことが可能なため、ドライバーとしてのキャリアアップや、給料アップを目指し、大型特殊免許の取得を検討している人も多いのではないでしょうか。

この記事では、大型特殊免許の基礎知識から、取得方法、取得にかかる費用について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

大型特殊免許とは

大型特殊免許とは、クレーン車やトラクター、ホイールローダーなど特殊な機能をもつ車両を運転するために必要な免許です。

大型特殊免許には、第一種と第二種があり、違いは客を乗せるかどうかという点です。

しかし、国内で大型特殊免許第二種が必要になる車両はほとんどないため、15種類ある運転免許の中で一番保有者が少ないといわれています。(2019年時点で大型特殊免許第二種の保有者は4万1560人)

大型特殊免許は、公道と許可された敷地内を運転することができますが、現場の作業を行うには、大型特殊免許の他に「作業免許」が必要になります。

作業を行う場合は「作業免許」が別途必要

大型特殊自動車を運転する場合は、目的地まで公道を運転して現場で作業を行うことが一般的ですが、実際に作業を行うには「大型特殊免許」の他に「作業免許(講習)」が必要になります。

作業免許は、特殊車両ごとに取得しなければいけません。

例えば、フォークリフトで作業をする場合は「フォークリフト運転技能講習」、移動式クレーン車で作業する場合は「移動式クレーン運転士免許実技教習」や「玉掛け技能講習」が必要です。

作業免許は、定められている時間の講習を受けることで交付されます。教習所によっては、大型特殊免許と作業免許がセットで取得できるプランが用意されているところも多いです。

大型特殊免許で運転できる車

大型特殊免許で運転できる車両は、主に3つの種類に分けられます。

また、大型特殊免許のみでは普通自動車は運転できないため、普通免許を取得してから大型特殊免許の取得を目指すのが一般的です。

大型特殊免許で運転できる車両の種類は、以下の通りです。

  • 大型特殊自動車
  • 小型特殊自動車
  • 原動機付自動車(原付)

大型特殊自動車

大型特殊自動車の車両の条件は、以下の表の通りです。

全長12.0m以下
全幅2.5m以下
全高3.8m以下
総排気量制限なし
最高時速制限なし(時速49km/h以下の自主規制あり)

大型特殊車両は、農耕車と工事車両、路面整備車両に分けられ、それぞれの車両の例は以下の通りです。

農耕車農耕トラクター、コンバインなど
工事車両ショベルローダー、クレーン車、ブルドーザーなど
路面整備車両除雪車、路面清掃車など

小型特殊自動車

小型特殊自動車の車両の条件は、以下の通りです。

全長4.7m以下
全幅1.7m以下
全高2.0m以下(ヘッドガード部分に限り2.8m以下)
総排気量制限なし
最高時速15km/h以下(農作業用は時速35km未満))

小型特殊自動車の例としては、フォークリフトや農業用薬剤散布機、田植え機などが挙げられます。

これらの車両は、小型特殊免許を取得していなくても大型特殊免許で運転できます。

原動機付自動車(原付)

原動機付自動車(原付)は、総排気量が125cc以下または定格出力が1.00kw以下の二輪車や、総排気量が50cc以下または定格出力が0.6kw以下の三輪以上の車両のことを指します。

大型特殊免許の取得方法|条件・費用

大型特殊免許の取得方法は、主に「教習所に通う方法」と「試験場で一発合格を目指す方法(一発試験)」の2つがあります。

教習所に通って大型特殊免許を取得する場合は、普通自動車免許とは違い「仮免許」や「公道での路上教習」などはありません。

教習所内のコースで教習を受けたあと、卒業検定に合格すれば、運転免許センターにて学科試験と適性試験が受けられ免許が交付されるといった流れです。

普通自動車免許を保有している場合は、学科試験が免除されるため、技能教習を6時間程度受けるだけで大型特殊免許の取得が可能です。

大型特殊免許の取得条件

大型特殊免許を取得するために必要な条件は、以下の通りです。

  • 満18歳以上
  • 両眼0.7以上、片眼0.3以上(片眼の視力が0.3に満たない場合は、他眼の視野が150度以上で視力が0.7以上であること)
  • 色彩の識別が可能なこと(赤・青・黄の識別ができる)
  • 10mの距離で90dBの警報器の音が聞こえること(補聴器で補われた聴力も含む)
  • 自動車の運転に支障を及ぼす恐れがある四肢、または体幹の障害がないこと(または、補助手段を講ずることにより運転に支障を及ぼす恐れがないと認められること)

教習所で大型特殊免許を取得する場合は、これらの基本条件に加えて普通自動車免許を保有していることが前提とされているところも多いので、普通免許を取得していない人は申し込む前に確認しましょう。

教習所に通わず一発試験で大型特殊免許を取得する場合は、受験資格の審査や取得時講習を受ける必要があります。

大型特殊免許の取得にかかる費用

大型特殊免許の取得にかかる費用は、教習所に通うか一発試験で取得するかで大きく変わります。取得方法別の費用と期間の目安は、以下の通りです。

取得方法費用目安期間目安
教習所(普通自動車免許ありの場合)80,000円〜90,000円技能教習:6時間
教習所(普通自動車免許なしの場合)150,000円〜200,000円学科教習:22時間技能教習:12時間
一発試験6,100円1日

教習所に通って大型特殊免許を取得する場合は、3ヶ月以内に卒業する必要があるため、集中して短期間で教習を終わらせるようにしましょう。

大型特殊免許の取得に関してよくある質問

ここでは、大型特殊免許の取得に関してよくある質問に回答します。

大型特殊免許の取得に利用できる給付金はある?

大型特殊免許の取得には「教育訓練給付金制度」を利用することができます。

「教育訓練給付金制度」とは、再就職支援を目的とした制度で入学金と受講料を合わせた金額の20%(最大10万円)の給付が受けられます。

この制度を受けるためには、以下のような条件があります。

  • 初回の場合:雇用保険の加入が1年以上
  • 2回目以降の場合:雇用保険の加入が3年以上
  • 在職中か離職から1年未満に申請すること

※参考:ハローワーク|教育訓練給付金制度

大型特殊免許第一種の取得は難しい?合格率は?

大型特殊免許第一種の難易度は高くありません。

警察庁交通局運転免許課の調査によると、令和2〜3年の大型特殊免許第一種の合格率は86.1%です。

第二種になると合格率は32.9%と難易度が高くなりますが、日本で大型特殊免許第二種を活かせる車両はほとんどないため、第一種のみで十分といえるでしょう。

※参考:警察庁交通局運転免許課|運転免許統計(令和3年版)

大型特殊免許でフォークリフトは運転できる?

大型特殊免許で乗れる車両の中にフォークリフトも含まれていますが、大型特殊免許のみでは、フォークリフトを運転することも作業することもできません。

フォークリフトを運転するためには、大型特殊免許に加えて「フォークリフト運転特別教育」または「フォークリフト運転技能講習」の受講が必要です。

フォークリフトの技能講習は2日で終わるため、大型特殊免許の取得とあわせて受講することをおすすめします。

また、フォークリフト以外で同時に取得しておくと便利な免許として、「けん引免許」や「運行管理者」などが挙げられます。

けん引免許の取得について詳しく知りたい人は、以下の記事がおすすめです。

牽引免許(けん引免許)とは?取得する方法や費用・免許が必要ないケースも解説

大型特殊免許の難易度は低め!給付金を上手く活用して免許取得を目指そう

クレーン車やブルドーザー、トラクターを運転するために必要となるのが「大型特殊免許」です。

大型特殊免許はあくまで公道を運転できる免許なので、現場で作業するには大型特殊免許とは別に「作業免許」も必要になります。

大型特殊免許を取得していると、幅広い車両を運転できるのでドライバーとして働いている人は、キャリアアップや給料アップが目指せます。

免許取得の難易度は低く、活用できる給付金制度もあるため、制度を上手く活用して大型特殊免許を取得してみてはいかがでしょうか。