今回取材させていただいたのは、(一社)全日本食品タンクローリー協会に所属している松木さんです。20代から運送業界に参入し、ドライバーから管理職までを経験。ご自身のドライバー経験からなる、業界への想い・(一社)全日本食品タンクローリー協会ついてお話を伺いしました。
全日本食品タンクローリー協会
役員:松木 健祐(まつき けんすけ)
1986年生まれの38歳。大手運送会社でドライバーから管理職を経験した後に、自身で運送会社を起業。その後、知人の縁でタンクローリー業界に参入。 2024年2月に設立された全日本食品タンクローリー協会の運輸部門立ち上げに参画し、最重要課題の一つである安全性の確立に尽力しています。
とにかく“がむしゃら”に。現在までずっと走り続けてきました。
―これまでの職歴を教えてください。
まずは、現場の作業員として2t車を運転していました。
その後、大手運送会社に転職。10t車で地方を回る配送を経験。その時にグループのリーダーを務めながら、ドライバーズコンテストに出場してきました。その時に、数々の賞を受賞することができたのも思い出です。
―数々のトロフィーが、頑張ってきた証なのですね。
その後は、どんなお仕事をされていたのでしょうか?
大手運送会社を退職後は、自分の会社を起業しました。起業した理由としては「ドライバーのプロ集団」を作りたいと思ったからです。
自分が大手運送会社でリーダーを務めていたグループ、そんなチーム(会社)を作っていけたら楽しいだろうな、という思いでの起業でした。
業界の「プロ集団」を作りたい!本気でそう思っています。
―ご自身での起業も経験した松木さんが、(一社)全日本食品タンクローリー協会の立ち上げに参画したきっかけは何でしょうか。
(一社)全日本食品タンクローリー協会のスタートアップとして、一員を担っている会社から依頼でタンクローリーの仕事が徐々に増えつつあった頃に、「協会に安全を具現化する運輸の機能を持たすために協力してほしい」との要請を頂きました。
(一社)全日本食品タンクローリー協会が当初目指した役目は「食品タンクローリーの業界を盛り上げる」「協業を進め、2024年問題の解決策を見出す」「業界の“標準”をつくって、運送会社も荷主もお互いが持続可能な環境を整える」などが挙げられます。
そこに「安全」という柱は欠かせないということになり、私が参画させて頂くことになりました。
この事業での私のミッションとしては、次世代に通用する「安全性」を実現することです。
―そんな背景があったのですね。
実際に、(一社)全日本食品タンクローリー協会ではどんな取り組みを行っているのでしょうか。
今一番注力しているのは、「教育システムの作り込み」です。
安全には教育が不可欠。業界の全体感として、現時点では教育する時間も人材もまだまだ足りませんが、各社の努力で何とかやりくりしている状況です。
ドライバーも管理職も、人が足りない/高齢化が進んでいる、といった問題が挙げられる中「今後のために一番大切なことは、何だろう?」と考えた結果、 “若手を育てていくか”ということが大切だと感じました。そして、いかに“短期間”で、安全性の高い“プロドライバー”に育てていくか。また、育てるためにはどうすればいいかを試行錯誤しながら教育カリキュラムなどを練っています。
現場で実証しながら教育の精度を上げてモデルを作り、会員各社での教育を後押しすること。さらに、現実的に安全を全面に押し出した「プロ集団」として、信頼性の高い輸送の実現を目指しています。
業界を変えるため。とにかく「教育」に力をいれています。
―先ほど、教育カリキュラムを作成しているとありましたが、どんな内容が組み込まれているのでしょうか。
具体的な内容としては…安全への心構え、日常点検、運転の知識・技術、タンクローリーの基本作業の訓練、添乗指導による個別のリスク行動の洗い出しと修正、など。通常運行に入れば意識せずやってしまいがちなことを、細かく確認しながら指導しています。
カリキュラム的には、まず入社2週間で基礎をたたき込み。早期に実際の運行に入れるように工夫しています。但し、運転・作業共に安全な行動ができるまではさらに訓練を続けるなど、一人ひとりに合ったペースでの指導を徹底。その後、一般的な現場での添乗指導に移して、お客様別の作業を教えていきます。大抵のドライバーは、約1か月で初歩的な業務はこなせるように…!
そして、ここからが本番。定期的に管理職の添乗指導を行い、当初教えたことの習得状況の確認と再指導、安全性の意識の醸成を図ります。そのため、完全な自立は約1年を想定。時々、初心者にはハードル高すぎたかな…と反省することもあります(笑)まだまだ、カリキュラムをブラッシュアップしている途中です!
私自身が「プロ」として生きていくからには、絶対に事故をさせたくない!そのために「私たちには何ができるのか」をひたすら模索しています。
―本当に徹底して教育に注力されているのですね。
今教えていただいた教育というのは松木さんが講習を開いているのでしょうか。
基本的には、僕が会社に出向いて、直接ドライバーに指導をしています。僕に教育を頼んでくださったからには、教育終了後には「ここまでできるようになったの?」「ベテランよりも安全志向は強く持ってるな」などと思っていただけるまで、育てたいと思っています。
正直に言うと、こういったご時世なのでパワハラなども問題になりやすく、企業の「教育」自体が甘くなってきているのが現実です。そんな中、僕はあくまで「外部の教育者」なので、ドライバーさんと真摯に向き合って本気で指導に特化することができます。実際に、のみ込みも早く「1日でここまでできるようになるんだ」とこちらが感動することもありますね(笑)
この業界が誰かの「憧れ」に!そのきっかけを作っていきたいと考えています。
―(一社)全日本食品タンクローリー協会にはどんな思いが込められているのでしょうか。
この運送業界・食品タンクローリー業界を「魅力ある仕事」にしていきたい、そう思っています。
なので、オーサムエージェントさんのビジョン「子どもたちの憧れの職業に。」にはすごく共感できるんです。私たちが作り上げた「プロ集団」が、子どもたちの目に止まり、憧れになっていく…これが私の目標ですね。
また、「業界の“標準”をプランニングし、それを実現していく」これがタンクローリー協会の役目だと思っています。
―では最後に、未来を担う方たちに向けて、一言お願いします。
今後、(一社)全日本食品タンクローリー協会は 安全・教育をベースに別の新しい「土台」を創り上げていきたいと考えています。運送業界初の【安全・教育のプロ集団】として、トラックドライバーのカッコよさを世間にアピールしたい!本気でそう思っています。
私たちと一緒に「プロドライバーを憧れの職業にする」こんな熱い思いに共感していただける方、次の物流世代の担い手・主役になってください・・・!