トレーラーの種類は?セミトレーラーとフルトレーラー別の車種

写真のようなトレーラー。道路を走っているのを一度は見かけたことがあるのではないでしょうか。ただ、『トレーラーの荷物運搬用の車両は、エンジンがないので自走できない』って知っていましたか?
なので、トレーラーは運転席のあるトレーラーヘッド(トラクタヘッド)を接続して牽引しているんです!
今回はそんなトレーラーの分類の詳細や、運転時に必要な免許、運転のコツまで、まとめて紹介していきます★

トレーラーの分類

トレーラーは大きく分けると以下の2つに分類されます!

  1. セミトレーラー
  2. フルトレーラー

2つのタイプの違いは『車体の長さ』『構造』
まずは、この2種類の違いについて、詳しくご紹介していきます◎

セミトレーラー

セミトレーラーは日本で使用されることが多いトレーラーです!
連結時の全長上限は18メートルと、フルトレーラーよりやや短め。
構造として、前輪がなく後輪だけがあるので、トレーラーだけでは自重を支えられず、トレーラー単体では運転できない作りになっています。
ちなみに、『トレーラー』と呼ばれる部分はココ!

<参考>セミトレーラー完全ガイド★種類・寸法・運転のコツまでを徹底解説!/トラック王国ジャーナル

トラクタは、牽引車としてトレーラーを引っ張る部分の車体、
トレーラーは荷物を載せる部分と、構造が分かれていて、その2つの部分が連結器でつながっている仕様です。
また、トラクタからトレーラーを切り離す場合は『ランディングギア』(補助脚)で自重を支えた状態になります。
実はセミトレーラーのこの構造にはメリットも!
セミトレーラーは連結装置にトレーラーの車両総重量の10%以上の負荷がかかっているため、トラクターの後輪駆動軸に対して強力な制動力を発揮できます
その結果、カーブを曲がる時など車体が左右に振れる時にも、後部の揺れを抑えられます◎

中には、トラクタとトレーラーを切り離すことを前提としていない、連接バスという車両も!
実はこの『トレーラーバス』…かなりレアな車両なんです!
トレーラーバスは日本全国でたった1台しかなく、その1台も2023年3月31日をもって運行を終了…。
日本ではもう見られない車種となってしまいました。

フルトレーラー

フルトレーラーは、トレーラー部分に前輪と後輪があるので、トレーラー部分だけで自重を支えられるのが特徴!
トラクタの上にトレーラー部分を乗せるのではなくて、トラクタ自体に荷重が全部かかる構造になっています。
また、フルトレーラーの積載量は、軸重や車両総重量によって決まります。

従来のフルトレーラーの連結全長は最大21メートルまでに制限されていましたが、現在の連結全長は最大25メートルになっています。
これは2019年1月に行われた特殊車両通行の許可基準の緩和の影響で、その結果「ダブル連結トラック」と呼ばれる、大型トラック2台分の積載量のフルトレーラーの連結走行が可能となりました。
ドライバー1人で10トントラック2台分の輸送が可能になり、効率的に大量輸送ができるように!ドライバー不足の解決策の1つになるのではないかと期待されています。
ただし、全長が長い分、ドライバーさんにはより高い運転技術が求められます。
種類によっては前軸台車とトレーラーの間の2カ所で曲がるタイプもあり、バックやカーブの運転は要注意です!

実はフルトレーラーの導入には、ドライバー不足解消の他に、もう1つのメリットが!
それは『自動車重量税が非課税になること』です。
また自動車税や自賠責保険もトラックと比較すると安価に抑えられえるため、
大量輸送の場合はトラック2台を利用するよりも、トレーラー1台を導入した方がおトクになるんです。

セミトレーラーとフルトレーラーの種類

ここまで、セミトレーラーとフルトレーラーの違いについてご紹介してきました。
実はセミトレーラー・フルトレーラーの中でも、積載物やトレーラー部分の形状によって、様々な分類があるんです!

特にセミトレーラーは、分割可能貨物運搬車両の許可限度重量によって、8つの分類がなされています。
まずはセミトレーラーの8種類について、簡単にご紹介します!

セミトレーラーの種類

バン型

セミトレーラーの中でも、最もポピュラーなタイプ!
トレーラーの荷台部分が箱型になっていて、冷蔵・冷凍品の運搬に利用されることが多いです
側面が上に開く「ウィングタイプ」と後部や側面に扉が設置された「バンタイプ」の2種類があり、
ウィングタイプは側面が全面的に開放されるため、多くの作業員が同時に出入りすることができます。

タンク型

荷台にタンクを搭載したタイプで、積載物によってタイプが分かれます。
燃料などの液体を運搬する『タンクローリータイプ』と、粉粒体などを運搬する『バルク車』の2種類があります。
タンクローリータイプの積荷は、ガソリンや灯油など石油類が多め。
ただし他にも化学薬品や食品、水など幅広い種類の液体を運ぶことができる存在です。

幌枠型

読み方は『ほろ』枠型。平ボディタイプに、骨組み付きの幌(ほろ)を被せたトレーラーです。
荷台に屋根がついているため、貨物を雨風から守ることが可能です。
また、アコーディオンのように、幌を伸び縮みさせることも可能なので、積荷の量や種類に応じてカバー範囲を変えられます。

コンテナ型

コンテナをがっちり固定するために、シャーシの四隅にツイストロック装置が備わったタイプ。
海上コンテナの輸送で頻繁に用いられており、海上輸送後の地上移動に一役買っています。
こちらは、車両の長さでタイプ分けが可能。
20フィート専用の短尺車と、40フィートコンテナ用の長尺車があります。

自動車運搬型(キャリアカー)

名前の通り、車輛運搬を目的にしたトレーラーで、乗用車を運びます
乗用車を多く積むために、トラクタ側に車載用の特殊構造がされている場合も。
また、その他の構造的な特徴として、積み込みの作業効率を上げるために、1階部分の地上高が低めに抑えられている、という特徴もあります。

あおり型(平ボディ)

トラックの荷台を囲うあおりが付いたトレーラーです。
こちらは固縛(固めに縛ること)を前提にしたタイプと、固縛を伴わないタイプに分かれるのが特徴です。
固縛前提のトレーラーは主に雑貨や瓦の運搬に、固縛を伴わない車輛はスクラップの運搬に利用されることが多いです。

スタンション型(フラットトレーラー)

スタンション型は荷台が平坦なフラットトレーラーを基本に、荷崩れ防止用の棒(スタンション)やワイヤーフックなどの装備が設置された車種です。
スタンションは車輛の最大積載重量や重心の高さに応じて、高さや数が変わります。
鋼材や原木、コンクリート製品の運搬に使われることが多く、積み込みには重機を使用する場合が多いです。

船底型(Vカット)

荷台の中心部分が、船底のようにくぼんだ構造のトレーラーです。
この構造によって、積載物を運ぶ時の安定性が増し、落下防止に役立つというメリットがあります。
コイルなど、円筒状の積荷を運搬する場合に、よく利用されます。

フルトレーラーの種類

ドリー式

『ドーリー』と呼ばれる、前輪に旋回機能を持った台車が取り付けられている車種。
ドーリーを軸にして、前輪が左右に曲がるのが特徴です。
トレーラーの前方と後方に車軸があります。

センターアクスル式

こちらは、荷台の中央に車軸が集められているタイプ。
そのため、ドリー式よりも運転しやすいと言われています!
セミトレーラーに近い感覚で運転できるので、フルトレーラーの運転が初めてという方でも、
比較的運転しやすい車種かもしれません◎

トレーラーを運転するために必要な免許の種類

「トレーラーの車種や車輛については分かった!実際にトレーラードライバーとして働きたい!」
そう考えた時に、どんな免許が必要になるでしょうか?
トレーラードライバーとして、運転時に必要な免許についてご紹介します!

運転免許

トレーラーを接続したトラックを運転するには、トレーラーヘッドに応じた運転免許の取得が必要となります。
車両総重量が7.5t以上11t未満、最大積載量が4.5t以上6.5t未満の場合、「中型自動車第一種運転免許(中型免許)」の取得が必要。
また、車両総重量が11t以上、最大積載量が6.5t以上の場合、「大型自動車第一種運転免許(大型免許)」の取得が必要です。
ただし、メーカーが製造しているセミトレーラーは大型車両に分類されることがほとんどなので、
大型免許の取得が必要になると考えておくのが確実です。

セミトレーラーをはじめとした特殊車両は、規格・寸法が決められていて、
基準を超える車輛は走行させることができません!
また、セミトレーラーの寸法は従来まで『連結時の全長は17mまで』とされていましたが、
2015年の「道路運送車両の保安基準改正」によって、上限が緩和されました。
この上限緩和で、一度に運べる貨物量が増えたため、大量輸送による業務効率化の進展が期待されています◎

牽引(けん引)免許

また、車両総重量750kg以上のトレーラーを牽引する場合には、けん引免許も必要になります。
通常の運送業務で用いる車輛は、総重量が750kgを超え積方が一般的なので、
トレーラードライバーになりたい方は、けん引免許も必要だと考えた方がいいでしょう。

ただし、一般に普及しているキャンピングトレーラーなどのライトトレーラーには750kg以下のモデルも!
その場合はけん引免許は不要になります◎
ちなみに、キャンピングトレーラーを選ぶ時は、耐荷重だけではなく、
”フレームの素材がアルミ製かスチール製か”にも着目してみてください!
よりトレーラーを長持ちさせるために、強度を重視したい方には、フレームがスチール製のトレーラーを選ぶのがオススメです★

最後に…セミトレーラーの運転のコツもご紹介!

ここまで、セミトレーラー/フルトレーラーといった分類や、トレーラー部分の違いによる車種について、またトレーラー運転時に必要な免許までをご説明してきました。
最後まで読んでくれた方は、トレーラーマスターになれたのでは?

「トレーラーの運転に興味が出てきた!」そんなアナタ向けに、運転のコツをちょっとだけご紹介◎
そもそも、セミトレーラーは通常のトラックとは違い全長が長いので、運転時は長さを考えることが重要です。
トレーラーの運転が難しいのは『大きくて長い』うえに『連結部分から折れ曲がる』から。
事故を起こさずに目的地へ到着できるように、車体のサイズに慣れるまでは、十分に注意しながら運転してください!

<カーブを曲がるコツ>
カーブを曲がる時は、内輪差オーバーハングに注意!
曲がり角との間隔を保つことを意識しながら、少し大回りするようにゆっくりと曲がりましょう。
ちなみにブレーキを強く踏むと、トラクターの前輪にロックがかかって、運転や操縦ができなくなってしまう場合も!
なので、急ブレーキはできるだけ控えて、前方に注意しながら、丁寧に曲がりましょう。
<バックのコツ>
続いて、バックについて。これが1番難しいと言われています…!
トレーラーがバックする時、連結部で折れ曲がってしまうため、どうしても左右どちらかに曲がってしまいます。
そのため、ハンドルを左右に何度も切りながら、微調整してバックしましょう。
<車庫入れのコツ>
トレーラーでバックして車庫入れを行う際は、逆にハンドルを切ります。
例えば、右バックで車庫入れをする時は、左方向にハンドルを切って、後輪を右に向けて車庫入れを行います。
この時に、ハンドルの位置をそのまま維持してしまうと、連結部分が逆方向に曲がってしまうので小刻みに左右の逆ハンドルを繰り返しましょう。
後ろのタイヤを意識しながら調整するのがポイントです!

<参考>トレーラーの運転とは?運転技術やバック&カーブのコツ、免許事情まで!

トレーラーの運転時のコツについて、少しでも伝わりましたか?
物流業界でドライバー不足が問題とされている昨今ですが、実はトレーラーは現役ドライバーからも人気の車種の1つ!
運転技術は必要になりますが、積荷の手作業がないため、ムリなく働きたいドライバーさんに人気なんです◎
また「より大きな車体を運転したい!」という思いで、大型トラックドライバーからステップアップする人も、ちらほら!

「これからドライバーを目指したい!」
「大型トラックに乗っているけど、トレーラーへステップアップしてみようかな」
この記事を読んでみて、こんな風に思ったアナタには『ドラピタ』がオススメ!
トレーラードライバーの転職・求人情報も多数掲載されているので、ぜひ転職活動に活用してみてくださいね^^