
バスの運転手は、さまざまな免許区分や勤務形態があり、初心者には参入が難しい職業と見られがちです。
しかし、必要な免許を段階的に取得し、仕事内容や勤務条件を理解すれば、誰でも挑戦できる仕事です。
本記事では「バスの運転手になるには」をテーマに、必要な免許や主な仕事内容、メリット・デメリット、おすすめの求人サイトを紹介します。
バスを運転してみたいと考えている方は、最後までご覧ください。
バスの運転手になるにはどんな免許が必要?

バスを運転する際は、乗車定員や車両総重量などの条件に合う免許が必要です。
普通自動車で運転できるバスと大型自動車第二種が必要なバスの違いを解説します。
普通自動車免許:乗車定員10人以下のバスの運転
普通自動車免許は、小型バスを運転する際に必要で、乗車定員10人以下の車両を運行できます。
送迎用の小型車や、小規模の観光バスなどの運行が可能です。
大型バスへ移行する前段階として小型バスのドライバーとなり、利用者とのやり取りや運行ルートの管理に慣れ、ドライバーとしての基礎力を身につける方も多くいます。
大型への移行を検討している場合は、段階的に免許を取得しながら、安全運転や接客姿勢を磨くのが望ましいでしょう。
大型自動車第二種免許:大型バスの運転
大型バスを運転するには、大型自動車第二種免許が必須です。
高速バス、観光バス、路線バスなど、多数の乗客を運ぶ業務に対応できます。
路線バス会社や観光バス会社では、大型自動車第二種免許を持つ人材が優遇されやすく、就職や転職時に強みになります。
一発試験に挑戦する方法もありますが、難易度が高いので、教習所で学ぶ方が安定しやすいでしょう。
また、バス会社が二種免許取得を支援してくれるところもあります。
二種免許を取得すると、キャリアアップの幅が大きく広がります。
大型自動車第一種免許と第二種免許の違い

大型自動車第一種免許と二種免許の違いは、「営利目的で乗客を乗せて運行するか」という点にあります。
大型自動車第一種免許は、トラックやダンプカーなどの輸送目的の大型車両を運転できる免許です。
一方で、バスやタクシー等の旅客を乗せる商用車両を運転するには、大型自動車第二種免許が必要となります。
大型バスの運転手として働くためには、第一種免許ではなく、第二種免許を取得する必要があります。
大型自動車第二種免許の取得条件と費用

大型自動車第二種免許を得るには、特定の年齢や運転経験を満たす必要があります。
- 大型自動車第二種免許の取得条件
- 大型自動車第二種免許の取得費用
所持免許の種類や取得方法によって取得費用が変わるので注意しましょう。
大型自動車第二種免許の取得条件
大型自動車第二種免許の受験資格は、以下のとおりです。
- 21歳以上
- 運転経験3年以上(免停期間は除外)
- 普通免許または中型免許などの自動車運転免許を取得している
運転記録証明書などで自分の運転経歴を確認しながら、教習所の担当者や試験場で必要書類をチェックする流れになります。
大型バスの運転手は「安全に乗客を輸送すること」が職務なので、視力や深視力(物体を立体的に捉える力や遠近感、奥行きを捉える力)などの身体検査項目も厳しく設定されています。
大型自動車第二種免許の取得費用
自動車教習所での取得費用は約30〜50万円が相場です。
普通免許のみ保持している状態なのか、中型や大型一種を既に持っているのかで料金が変わります。
一発試験で合格を目指すなら9,700円(受験料4,800円、試験車使用料2,850円、免許証交付料2,050円)が必要です。
しかし不合格になった場合は再試験ごとに同額が必要なため、合格までの回数によっては費用が高額になる可能性もあります。
大型自動車第二種免許の取得方法

個人で大型自動車第二種免許の取得する方法は、以下の通りです。
- 自動車教習所・合宿で学び取得する
- 免許試験場で一発試験を受ける
また、バス会社によっては二種免許の取得支援制度もあるので、そちらも合わせて解説します。
自動車教習所で取得する
教習所へ通学する方法は、自分のペースで技能や学科を学べるメリットがあります。
仕事や学校との両立がしやすく、空き時間を活用して免許を取得できるのが魅力です。
合宿を選べば短期間で集中的に免許を取得できますが、まとまった休みが必要になるため、スケジュール調整が難しい方には負担が大きくなります。
普通免許のみ保持している場合はおよそ15日前後、中型免許や大型一種免許を持っていれば、7日前後で取得できます。
免許試験場で一発試験を受ける
一発試験とは教習所に通わず、運転免許試験場で直接受験する方法です。
受験料は比較的安いものの、試験の合格率は約10%前後であり、難易度は高めと言えます。
一発試験で取得する際は大型一種免許、大型仮免許のいずれかを取得しておかなくてはなりません。
身体検査と学科試験、技能試験があり、すでに持っている免許の種類などで免除されるものがある場合があります。
たとえば、他に二種免許(中型二種、普通二種)を既に持っている方は学科試験が免除されます。
学科試験に合格したのち、多くの場合は後日技能試験を受験します。
本番で安定した運転技術を示すには、車両感覚や安全確認を徹底し、試験官のチェックポイントを把握しておく必要があります。
バス会社によっては二種免許の取得支援制度がある
近年、バス会社によっては、バス運転手不足の解消を目的として、取得支援制度を設けている場合が多くあります。
採用内定後に会社負担で免許を取らせる方法や、入社後に一部費用を補助するケースなど、内容は企業によって異なります。
給付型、貸付型などその支援方法は様々ですが、貸付型の場合でも一定期間勤続することで返済が免除されることがほとんどです。免除される勤続年数についてはバス会社ごとに違うので、よく確認しましょう。
二種免許の取得制度を活用できれば、金銭的リスクを抑えつつ大きなキャリアアップが期待できます。
特に、地方や人材不足が深刻な地域では二種免許の取得支援制度が充実している事例が増えています。
バスの運転手にはどのような仕事がある?

バスの運転手には、以下のような仕事があります。
- 路線バスの運転手
- 観光バスの運転手
- 高速バスの運転手
- 送迎バスの運転手
それぞれ働き方や難易度が異なるので順番に解説します。
路線バスの運転手
路線バスの運転手は、決められたルートを定時で走り、多くの利用者を乗せる役割を担います。
地域住民の生活インフラを支える存在として、社会貢献度が高い仕事です。
乗客は通勤や通学、高齢者の移動など、年齢層や目的が幅広く、乗り降りの際にこまめな安全確認や丁寧なアナウンスが求められます。
大半は会社ごとにシフト制で動いており、早朝便や深夜帯の運行を担当する場合もあります。
正確な運行管理が必要なため、時間に追われる緊張感が特徴ですが、慣れればルーティンワークとして安定しやすいでしょう。
観光バスの運転手
観光バスの運転手は、旅行会社や観光客のスケジュールに合わせて運行し、遠方の観光地や宿泊先へ乗客を届ける仕事です。
観光シーズンになると稼働が増えて連日長距離を運転するケースもあるため、体力や集中力の維持が欠かせません。
サービスエリアでの休憩や観光地での待機時間が発生することも多く、路線バスとは異なるリズムで働くことになります。
観光地の混雑状況や天候によるルート変更など、臨機応変な判断を求められる場面もありますが、乗客が満足そうに帰路につく際に大きな達成感を得られます。
高速バスの運転手
高速バスの運転手は長距離運行を担当し、都市部から地方や地方間を結ぶ路線を走ります。
長距離移動がメインなので、乗客も観光や出張、帰省など多岐にわたります。
高速道路を走行するため一般道とは違った注意点があり、高速走行の車両感覚や大型車両との十分な車間距離など、安全管理が重要です。
夜行便では深夜に連続運転する可能性があるため、運行会社によっては運転手の交代制度や仮眠休憩を設けるなど安全策を講じています。
深夜手当が加算されやすく、効率的に稼ぎたい方にとっては魅力的な仕事です。
送迎バスの運転手
送迎バスの運転手は、企業や学校、施設などの特定利用者をピンポイントで運ぶ役割を担います。
決まったルートと利用者が多く、路線バスほど不特定多数を乗せるわけではないため、運転の予測が立てやすい利点があります。
特に幼稚園やデイケアサービスなどの送迎バスの場合は、子どもや高齢者、体の不自由な方を運ぶため、安全確認や乗降時の配慮が必要です。
運転時間以外に車両の点検や清掃を担当する場合もあり、総合的な管理能力が問われるポジションです。
乗客は顔なじみになりやすいため、接客というよりもコミュニティの一員として信頼関係を築ける点も送迎バス運転手の特徴といえます。
バスの運転手になるメリット

バスの運転手になると、以下のようなメリットがあります。
- 仕事を長く続けやすい
- 職場の人間関係の影響を受けにくい
- 平日に休みを取りやすい
- お客様から直接ありがとうを言ってもらえる
一般的な会社員と違う点が多いので、それぞれのメリットを解説します。
仕事を長く続けやすい
バス運転手は経験がモノを言う職業です。
長年の運行実績や安全運転のノウハウが蓄積すると、会社からの評価や乗客からの信頼が高まります。
年齢を重ねても体力的に無理なく仕事ができるため、定年まで働きやすいのがメリットの1つです。
大型二種免許を取得しておけば、観光バスや高速バスなど複数の分野に活躍の場を広げられるのも魅力です。
職場の人間関係の影響を受けにくい
バス運転手の業務は基本的に一人でハンドルを握るため、他の社員と常に一緒に行動するわけではありません。
観光バスでガイドとペアになるケースがあっても、路線バスや送迎バスでは単独運行が中心です。
上司や同僚とのコミュニケーションが必要最小限で済むため、職場の人間関係に煩わされるリスクを抑えられます。
気楽に自分のペースで仕事を進めたい方に向いているのがバスの運転手の特徴です。
平日に休みを取りやすい
多くのバス路線は週末や祝日も運行されるため、バスの運転手はシフト制や交代勤務になりやすい特徴があります。
そのため、一般企業が休みの土日に働き、平日に休むことが多くなります。
平日に休めると役所や病院が空いており、銀行手続きや子どもの用事などをスムーズに片付けられるのがメリットの1つです。
友人や家族と休暇を合わせにくいと感じる方もいますが、シフトを調整すればまったく希望通りに休めないわけではありません。
生活リズムを整えるには工夫が必要ですが、自分のスタイルに合う働き方を確立できれば、プライベートも充実できます。
お客様から直接ありがとうを言ってもらえる
バス運転手は乗客と直接対面する機会が多く、降車時に「ありがとう」「助かりました」と声を掛けられることがあります。
運転中も乗客の安全や快適さを優先しつつ、スムーズな運行を求められるため、良いサービスが直接伝わりやすい環境です。
路線バスでは地元の常連利用者や高齢者の方々との触れ合いが生まれ、送迎バスでは毎日同じ乗客を送り迎えするため絆が深まることもあります。
観光バスでは旅行の楽しさをサポートする重要な役割を担うため、目的地に着いた瞬間や帰路での感謝の言葉が大きな励みになるでしょう。
単に運転するだけではなく、人とのコミュニケーションを通じて直接的なやりがいを得られるのが魅力です。
バスの運転手になるデメリット

一方で、バスの運転手には以下のようなデメリットも存在します。
- 生活が不規則になりやすい
- お客様からクレームを受けることがある
- トイレに自由に行けない
転職する前に、デメリットも正しく認識しておきましょう。
生活が不規則になりやすい
バスの運行は時間帯や季節に左右されやすく、早朝便や深夜便などを担当すると生活リズムが乱れやすくなります。
勤務シフトが月ごと、週ごとに変わる会社もあり、休日が不定期になるケースも珍しくありません。
食事や睡眠のリズムを一定に保つのが難しいため、健康管理に力を入れる必要があるでしょう。
慣れないうちは体力的に負担を感じやすいですが、職場によっては仮眠室や休憩施設が整っている場合もあります。
規則正しい生活を最優先に求める方には合わないかもしれませんが、シフト制でも体調管理や時間の使い方を工夫すれば、快適に働くことができます。
お客様からクレームを受けることがある
乗客を乗せて運行する以上、運転技術とともに接客スキルも求められます。
車内アナウンスのタイミングが合わなかったり、急ブレーキや揺れが多かったりすると、不満を感じる乗客もいるでしょう。
また、運行遅延が発生すると、交通渋滞が理由でも運転手が直接謝罪しなければならない場合があります。
お客様によっては厳しい言葉を投げ掛ける方もおり、精神的なストレスを感じる瞬間が出てきます。
笑顔で対応しつつ、安全運転を維持するのは容易ではありませんが、慣れてくると対処法が身に付いてトラブルを防止できるようになります。
トイレに自由に行けない
バスは定時運行が求められるため、途中で自由に車両を止めてトイレ休憩を取れません。
特に路線バスは短い間隔で運行を繰り返すケースが多く、休憩を挟むタイミングが限られます。
事前に水分を控えたり、乗務前に必ずトイレを済ませたりなどの自衛策を取る運転手もいます。
こうした制約が日常的に発生するため、持病や体調面で不安がある方には負担が大きいと感じるかもしれません。
バスの運転手になるには求人サイトがおすすめ

バスの運転手になるためには、以下のような求人サイトを活用しましょう。
- ドラピタ
- マイナビ転職
特に、物流業界に特化した求人サイト「ドラピタ」には、バスの運転手の求人が豊富に掲載されています。
ドラピタ
「ドラピタ」は、ドライバーや物流関連の仕事を専門に扱う求人サイトです。
トラック運転手向けの情報が多いイメージがありますが、バス運転手の募集も網羅されています。
運輸業界に的を絞った求人が集まりやすく、企業側も即戦力や未経験者を求める際に利用するため、多彩な選択肢を確認できる点が特徴です。
検索機能も充実しており、地域や勤務形態、免許の種類など細かい条件を設定して求人を絞り込めます。
直接企業に応募もできるため、バス運転手に転職したい方にとって利用しやすい求人サイトです。
マイナビ転職
マイナビ転職は、幅広い業種を取り扱う総合型求人サイトで、バス運転手の求人も数多く掲載されています。
路線バスの運行会社や観光バス事業者だけでなく、送迎バス専門や企業のシャトルバス運転手など、求人の幅が広い点が特徴です。
大手求人サイトならではの検索機能やスカウトサービスを利用すれば、自分の経歴や条件に合致する企業からオファーを受け取ることもあるでしょう。
転職ノウハウや面接対策などをまとめたコンテンツも多いため、初めてバス運転手を目指す方でも安心感があります。
バスの運転手になるには物流業界専門の求人サイトを活用しよう

「ドラピタ」のようなドライバー専門求人サイトを利用して、希望に合うバス運転手の仕事を探してみましょう。
運輸業界は人材不足が叫ばれており、未経験でもチャレンジしやすい制度が設けられた求人が増えています。
大型自動車第二種免許を既に持っている方はもちろん、普通免許のみでも支援制度を設けている企業を探せば、採用後にステップアップできます。
安全運転に責任を持ちながら、快適な移動を支えるプロとして成長していきましょう。
文字数:6169文字
