玉掛け資格の内容・取得費用・合格率は?ドライバーが取得するメリットも解説

玉掛け資格は、クレーンで貨物を吊り上げる際に必要な国家資格です。

災害発生のリスクを抑えながら、効率よく荷物を扱いたい方におすすめの資格です。

本記事では、玉掛け資格の取得方法や費用、合格率、さらにドライバーが取得することで得られるメリットを解説します。

玉掛け資格の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

玉掛けとはどんな資格?

玉掛けは、クレーンを操作しながら重い荷物を安全に吊り上げたり外したりする際に必要な作業資格です。

フックへの荷掛けや荷外しを誤ると、落下事故や作業者が巻き込まれる事故につながる可能性があります。

事故を未然に防ぐためには、専門的な研修を受けることが推奨されています。

玉掛け資格では、吊り荷のバランスを正確に把握するための力学知識や、クレーン動作に合わせた合図方法を習得可能です。

講習を受けることで玉掛けの理解が深まり、現場での作業効率と安全性が向上します。

玉掛け資格を取得すると、大型の建設現場や物流企業などで活躍しやすくなり、業務の幅が広がります。

玉掛けについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。

玉掛けとは?作業内容や必要な資格をわかりやすく解説!

玉掛け作業の種類

玉掛けには、以下のような種類があります。

  • 目掛け
  • 半掛け
  • あだ巻き掛け
  • 目通し

現場や荷物の状態に合わせた掛け方を選べるようになると、安全性と効率を高められます。

目掛け

目掛けは、クレーンのフックへワイヤーロープのアイ(ループ部分)部分を掛けて荷を引き上げる一般的な手法です。

荷の重量や大きさによっては、二本以上のワイヤーロープを用いて吊るケースがあります。

複数のロープを併用するときは、それぞれの長さを揃えなければ荷が斜めに傾き、落下の危険性が高くなるので注意しましょう。

左右非対称な品物を扱う場面では、どの位置にワイヤーを掛けるかで、吊り上げ時のバランスが大きく変化します。

作業現場で事故防止を図るためには、荷重計算や安全点検を徹底しつつ、チーム内での合図や確認作業を確実に行いましょう。

半掛け

半掛けは、荷物側に設置された吊り手へワイヤーロープを掛ける方法です。

半掛けはフックにロープを直接掛けないので、手早く荷物を吊り上げられます。

一般的には2本のロープを使い、重量によっては4本や6本のロープを使う場合もあります。

短時間で安全に作業するためには、ロープの点検と吊り手の状態確認が欠かせません。

ワイヤーロープが摩耗していたり、吊り手部分に不具合があったりすると事故発生率が上がるため、事前のチェックが重要です。

また、荷物の重心が偏っている場合は安定して吊り上げるのが難しくなるため、半掛けのみでは対応できない可能性があります。

あだ巻き掛け

あだ巻き掛けは、ワイヤーロープをクレーンのフックへ巻き付ける形で荷を吊る手段です。

フックへワイヤーを固定しやすいメリットがある一方、ロープ自体が変形しやすくなるデメリットもあります。

巻き付け部に曲がり癖がつくと、強度低下や切断のリスクが高まります。

定期点検の際に、ロープの傷や変形を早期に発見して交換するかどうかを判断するのが大切です。

あだ巻き掛けの扱いに慣れていない現場作業員が多い場合は、詳細な作業手順を事前に共有し、危険回避の合図を徹底することが推奨されています。

目通し

目通しは、ワイヤーロープのアイを折り返した部分へ荷を通し、締め付けるようにして吊り上げる手法です。

複数の小さな荷物を一度に吊り上げやすく、作業効率が向上します。

ただし、ロープを絞り込む際の摩擦が増すため、ロープの寿命が短くなるおそれがあります。

実際の現場では、荷物の角やエッジがロープへ当たって損耗が早まるケースもあるため、入念なチェックが欠かせません。

点検時にほつれや切断痕が見られた場合は、早急に交換を検討しましょう。

玉掛け資格の取得場所

玉掛け資格を取得するためには、各都道府県の労働局に登録されている教習機関(クレーン協会、教習所、労働技能講習センターなど)または民間の教習機関へ申し込む必要があります。

多くの場合は、書類を提出した後に受講日程を決め、学科と実技を受ける流れになります。

実技ではクレーンやワイヤーロープの取り扱いを学ぶため、現場さながらのシミュレーションを体験できるのが特徴です。

平日コースと週末コースを設置する機関もあるので、就業中の方は休日に合わせて通える機関を選びましょう。

玉掛け資格の講習内容と費用

玉掛け資格には、一トン未満なら特別教育、一トン以上なら技能講習を受講します。

  • 玉掛け資格の講習内容
  • 玉掛け資格にかかる費用

玉掛け資格取得を検討している方のために、講義内容とかかる費用を解説します。

玉掛け資格の講習内容

一トン未満のものを玉掛けする場合は玉掛け特別教育の講習(2日間)、一トン以上であれば玉掛け技能講習(3日間)のいずれかの講習を受講する必要があります。

玉掛け特別教育の講習内容は、以下の通りです。

学科クレーン、移動式クレーン、デリック及び揚貨装置に関する知識:1時間クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識:1時間クレーン等の玉掛けの方法:2時間関係法令:1時間
実技クレーン等の玉掛け:3時間クレーン等の運転のための合図:1時間

玉掛け技能講習の内容は、以下の通り。

学科クレーン等に関する知識:1時間クレーン等の玉掛けの方法:7時間クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識:3時間関係法令:1時間
実技クレーン等の玉掛け:6時間

吊り上げる重量に応じて、玉掛け特別教育の講習と玉掛け技能講習を選んでください。

玉掛け資格にかかる費用

玉掛け特別教育の講習はおよそ2万円前後、技能講習では2万〜4万円程度が相場です。

東京技能講習会を例にすると、特別教育で17,000円、技能講習で23,500円になっています。

地域や機関ごとに取得費用やテキスト代などが変わるケースがあるため、受講前に料金を確認するのが大切です。

また玉掛け資格を取得する際は、値段だけではなく、施設や講師の指導内容をチェックして自分に合う場所を選びましょう。

受講時には作業着や安全靴の着用が必要になる場合があり、これらの準備費用も合わせて考慮することが大切です。

玉掛け資格の合格率

玉掛け資格は合格率90%以上とされています。

講師の指示をきちんと理解しながら学科と実技を進めれば、難易度は高くありません。

力学やクレーンの構造を全く知らない方でも、講習のカリキュラムをきちんと受講すれば合格できます。

試験は学科と実技の総合評価で判定されます。学科では荷重計算や関係法令の要点を押さえることで、良い結果につながります。

実技では正確な合図と玉掛け動作の安全確認が重視されるため、丁寧に手順を踏みながら実技を行うのがポイントです。

玉掛けは、現場未経験でも取得しやすい資格なので、異業種から取得を検討している方も積極的に挑戦してみましょう。

玉掛け資格を取得するとクレーン免許取得が有利

玉掛け資格を先に取得すると、クレーン関連の免許を取得しやすくなります。

  • 玉掛け資格と一緒に取得しやすいクレーン免許
  • 玉掛け資格で免除される科目

玉掛け資格とクレーン免許の関係を解説します。

玉掛け資格と一緒に取得しやすいクレーン免許

玉掛け資格を取得すると、以下のクレーン免許の科目が一部免除になり取得しやすくなります。

  • クレーン・デリック運転士免許
  • 移動式クレーン運転士免許
  • 床上操作式クレーン運転技能講習修了者資格
  • 小型移動式クレーン運転技能講習修了者資格

短期間で複数の資格を取得しやすくなり、幅広い現場で重宝される存在になります。

クレーンの種類や運転範囲によって求められる免許が変わるため、就職先や転職先の要望に合わせて資格取得の計画を立てると効率的です。

玉掛け資格で免除される科目

玉掛け資格所持者は、クレーンやデリック運転士免許をはじめとした揚貨装置運転士免許の受験時に、力学に関する学科の一部が免除されるケースがあります。

また小型移動式クレーン運転技能講習や床上操作式クレーン運転技能講習の場合は、運転時の合図に関する科目を省略できる場合が多いです。

こうした免除制度を活用すると受講時間や費用を抑えやすく、短期決戦で複数の資格を手に入れやすくなります。

特に作業範囲の広い現場へ転職する予定がある方には、玉掛け資格との同時取得や段階的取得を狙うのがおすすめです。

玉掛け資格を取得するとドライバーの仕事にメリットがある

玉掛け資格を取得すると、以下のようなメリットがあります。

  • ドライバーが玉掛けを担当できる
  • クレーンの免許を合わせて取得するとユニック車での作業ができるようになる

ドライバーが玉掛けを担当できる

荷積みや荷下ろし時の玉掛けをドライバーが担えると、企業側の利便性が大きく上がります。

オペレーターを別途手配する必要が減り、人員コストの削減やスケジュール管理の効率化につながるためです。

玉掛けが求められる作業現場へも積極的に入りやすくなるため、仕事の幅を広げたいドライバーにはメリットのある資格といえます。

企業によっては資格手当や給与アップの制度を導入しており、収入増を目指す方にとっても魅力的な資格です。

実際に玉掛けと運転の両方をこなせる人材は不足しているので、長期的に重宝される人材になります。

クレーンの免許を取得するとユニック車での作業ができるようになる

玉掛けと併せてクレーン免許を取得すると、作業現場でユニック車を使った作業ができるようになります。

ユニック車は荷台に小型クレーンを搭載しているため、狭い現場での積み込みや重量物の移動に適したトラックです。

つり上げ荷重5トン未満なら小型移動式クレーン運転技能講習、5トン以上なら移動式クレーン運転士免許が必須です。

ユニック車を自在に操るドライバーは少ないため、物流企業や建設業界で重用される確率が高まります。

実務経験と合わせてユニック車に必要な資格を揃えると、さらなるキャリアアップを見据えた働き方ができます。

玉掛け資格を活かせる求人の探し方

玉掛けの資格を活かせる職場を見つけたい方は、以下の方法で求人を探してみましょう。

  • 物流業界専門の求人サイトを利用する
  • ハローワークで求人を探す

物流や運送業界の求人情報を探している方には、物流業界専門の求人サイトがおすすめです。

物流業界専門の求人サイトを利用する

物流専門の求人サイト「ドラピタ」は、ドライバーや倉庫スタッフの募集を数多く掲載しています。

玉掛け資格が必須、または歓迎される仕事を簡単にリストアップしやすく、条件検索で勤務地や勤務形態を細かく指定可能です。

会員登録をすると、企業とのやり取りをサイト上で完結できるため、時間がない方や在職中の方でも効率的に転職先を見つけられます。

玉掛け資格を活かしたい方は、ドラピタのように業界に特化した求人サイトを活用しましょう。

ハローワークで求人を探す

全国にあるハローワークは、幅広い業種・職種を扱う公的機関で、玉掛け資格を求める求人も一定数掲載されています。

ハローワーク内の専用端末やWebサービスで条件を指定しながら求人検索し、興味がある企業が見つかったら紹介状を発行してもらって面接に行く流れです。

ハローワークは、求人数が多い反面、資格手当や休日などの詳細情報が求人票からはわかりにくい場合があります。

疑問点や職場の雰囲気などを知りたいときは、相談員と相談しながら応募先を検討するとミスマッチが減るでしょう。

現場での経験や他資格の取得状況を伝えると、自分に合った求人を案内してもらえるケースがあります。

玉掛け資格を取得して多様なトラックを運転しよう

玉掛け資格を取得すると、現場作業だけではなく、トラックドライバーとして任される業務の幅が一気に広がります。

クレーン免許も併せて取得すると、ユニック車の運転や工事現場への出入りなど、多彩な現場で活躍できます。

玉掛け資格を所有しているトラックドライバーは少ないので、高収入や資格手当が期待できる求人に応募できるほか、転職面でも有利になります。

玉掛け資格を活かせる仕事を探す際は、物流系に特化した求人サイト「ドラピタ」がおすすめです。

安定した収入とスキルアップを両立したい方は、玉掛け資格を取得し、さまざまなトラックを操作できる人材を目指しましょう。

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