「世界レベル」で極める質とサービス。ハイヤー業界のプロが描く未来像とは。

今回取材させていただいたのは、TM Line株式会社の専務取締役である渡邊さんです。タクシー・ハイヤー業界で長年活躍されてきた渡邊さんが抱く、会社の未来像を伺いました。高いプロ意識を感じられる考え方、マインドにも注目です。

TM Line株式会社
専務取締役 渡邊誠樹

タクシー運転手として活躍後、ハイヤードライバーに転身。タクシー・ハイヤー業界に長年携わり、現在はTM Line株式会社の専務取締役として従事。

私たちが大切にしたのは、会社の在り方。

―まずは会社について簡単にお伺いしたいです。
当社はハイヤー業をメインとする会社で、2015年に設立しました。国内外のVIP顧客の送迎を主におこなっています。お客様にご満足いただくことが我々の使命だと思っていますので、設立する際には「会社として何を大事にしていくか」「目指す姿は何か」を経営陣で何度も話し合いました。会社としての明確な指針とゴールを定めたということです。

―軸を決めることが、会社としての第一歩だったわけですね。
そうですね。特に時間をかけて議論したことを今でも思い出します。
「何を大事にするか」を考える際、まず大前提としてあったのが「安全は全てに優先する」ということ。お客様を目的地へお連れする、というこの業態において「安全」がなければ何も始まらないですからね。これはTM Lineだけではなく、タクシー・ハイヤー業界全体の、もっと言えば、物流運送業界全体の共通認識でもありますよね。至極当然のことですが、安心安全なサービスをお届けすることを第一として考えています。

TM Lineが目指すのは、もっと上。世界一です。

―TM Lineが目指す姿とはどういうものでしょうか。
私たちが目指すのは、世界一のハイヤー会社「会社の規模」や「会社の売上」という話ではなく、「ホスピタリティ」で世界一になること。これが我々の目指すところです。「TM Lineの良さを一度知ってしまうと、他を使う気にならない」というレベルに至るまでの質を追求しています。世界一というと、とてつもなく大きな目標に思えますが、そのために私たちが重視していることがあります。それが“人”です。

―とても気になります!具体的にお伺いしたいです。
「TM Lineの良さを一度知ってしまうと、他を使う気にならない」という高いレベルにもっていくためには、他社のドライバーではできない仕事もやれることが必要です。つまり、他社のドライバーでは追いつけないレベルのスキルを身に付けるということです。ドライバーはある意味、『修行僧』でなくてはいけないと思っています。例えば、観光案内のシーンでは、博物館の学芸員レベルまで深い話ができること。歴史・文化の知識以外もそうです。最新の街情報、お食事処、トレンド、お土産、国産ブランド、日本の伝統工芸品など、あらゆる情報を常にキャッチしていかなくてはいけません。こういった知識は一朝一夕で身に付くものではないので、「学びは一生続く」という意味で修行僧という言い方をしています。

―まさに修行僧のようですね。プロフェッショナルな精神を感じます。
お客様とは色々な話をするので、インプットがやはり大事です。様々な分野の幅広い知識に加えて、専門的な分野での深い知識も必要ですね。TM Lineでは一人ひとりに担当分野をつけています。ドライバー全員が各分野のプロフェッショナルという状態です。前職の知識を活かしているドライバーもたくさんいます。一人ひとりの知識はスタッフ全員で共有しているので、”全員の知識”をもって”1人のお客様”へのおもてなしを実現しています。この会社は世界一だ、と決めるのはあくまでお客様ですので、我々は絶えずレベルアップせねばならない、というのが我々の根幹にある考えです。

土台にあるのは、お客様ファースト。感動を与える仕事をしたい。

お客様ファーストは常に考えていることです。この業界が長いので、自分にとっては当然のこととしてあります。先ほどお話した“修行”を大事にしているのも、お客様ファーストの想いがあってこそ。「安全運転・守秘義務」はお客様ファーストを考えるうえでの基本ですが、他に重要なこととして当社が掲げているのが「お客様はあくまで会社のお客様、と思うこと」。たとえ指名をいただいたとしても、個人ではなく“我々”のお客様として行動する意識が大切です。

―タクシー業界でも活用が進んでいるAIについてはどうお考えですか?
TM Lineで提供しているサービスは、AIにはできないものだと思っています。空気を読んで臨機応変に対応すること、日本人のおもてなしの心といった部分は、AIではなく人が対応してこそ成立します。「目の前の人に喜んでほしい」という気持ちがあって、そのために何ができるかを柔軟に考える。この仕事は、クリエイティブです。

世界一を目指すための人材確保。ここを妥協してはいけません。

世界一のハイヤー会社を目指すこと。そして、お客様ファーストのおもてなしをするにあたって、良い人材を確保することは最も重要なことです。『人は財なり、信頼は金なり』良い人材を獲得するには、魅力のある条件とやりがいのある楽しい仕事を提供できる会社でなければなりません。TM Lineでは、高品質のサービスを提供することで、ドライバーに高水準の待遇で還元しています。平均年収は840万円以上。スキルによっては年収1,100万円以上も可能です。ドライバーを安く雇って儲けようとする。この姿勢では良い人材は確保できないと思っています。

―良い人材を確保するために意識していることはありますか?
言い方が正しいかわかりませんが、当社にはハズレのドライバーがいません。タクシー・ハイヤー会社は保有台数分のドライバーを確保するために、基準が満たない方でも採用するということが一般的にあります。ただ、TM Lineでの採用は優秀な人材のみ「この会社さんはダメだな」と思われるようなドライバーがいないというだけでも、他社と比較したときのアドバンテージになります。とはいえ、英語が話せる、言われたことを忠実にやる。それだけでは重宝されません。TM Lineのドライバーは、ワンランク上の対応力や振る舞い、スキルを追求する向上心のある方ばかりです。当社で働くスタッフには、この先もずっと活躍してほしいという想いがあるので、ハイヤーができなくなったときのために別業種でジョブチェンジできる体制を整えていきたいと考えているところです。

ゆるぎないTM Lineブランドの構築へ

―現在、力を入れていることがあれば教えてください。
強固なTM Lineブランドの構築です。少数精鋭の体制は変わりませんが、優秀な人材を確保し会社で育てていくことで、同業他社とは一線を画したブランドを築きたいと思っています。これまでお話した精神や想いが変わることはありませんが、今まで以上におもてなしの心が大事になってくると感じています。

―そう感じている理由は何ですか?
TM Lineならではのおもてなし、高品質なサービス。これを必要としてくださるお客様が増えていくことは、AIの参入がしづらいビジネスモデルになることを意味します。仮に、世界一のホスピタリティ・世界一質の高いサービスをTM Lineが実現できれば…。冒頭でお話した世界一のハイヤー会社になることも夢ではありません。AIに淘汰されない、日本のおもてなしが世界をより豊かにするはずです。

会社概要

  • 社名    TM Line株式会社
  • 住所    〒141-0031 東京都品川区西五反田7-22-17 五反田TOCビル11階
  • 設立    2015年2月
  • WEBサイト https://tmline.co.jp/
  • 事業内容  ハイヤー事業