休みを取りやすいトラックドライバーの種類と拘束時間のルール

転職を考える時には人それぞれ求める条件があります。例えば「ガッツリ稼いで高収入を目指したい」といった“給料や年収”の条件。また「今の働き方を変えてムリなく続けていきたい」など“勤務時間や休日”を条件に挙げる人も少なくありません。その中でも今回は“勤務時間や休日”といった働き方のルールについて紹介します。ルールを知らないまま転職をすると、後々「こんなはずじゃなかったのに」という後悔にも繋がりかねません。最近よく目にする「2024年問題」にも関係してくるので、未経験から運送業に入ろうと考えている人も現役のトラックドライバーの方も是非チェックしてみてください。

トラックドライバーの休み事情

トラックドライバーといえば「全然休めない仕事」という過酷な労働条件をイメージする人も多いのではないでしょうか。確かに企業や業務内容によっては休みが少なかったり、実態として有給が取得しづらかったりすることがあります。しかし最近は労働環境を見直して改善する企業も増えてきており、しっかり休める企業も増えてきました。「何曜日に休めるのか」「週に何日休めるのか」「大型連休は取れるのか」などしっかり見定めて転職先を探しましょう。

土日休みはある?

休日がシフト制の場合は休みが土日に当たる可能性がありますが、毎週必ずというわけではありません。完全週休2日制や、土日を定休日にしている企業はまだ多くないというのが現状ですが、配送先が土日休みなどの場合は土日を定休日にしている企業もあります。転職先を探すときは配送先など仕事内容も調べてみましょう。ちなみに「完全週休2日制」と「週休2日制」は意味が違うので注意が必要です。完全週休2日制は「毎週必ず2日間の休みがある」ということ。一方で週休2日制は「1か月で1度以上、週2日の休みがある」ということです。例えば1週目は休みが2日、2~4週目が休みは1日ずつでも「週休2日制」となります。求人内容に「週休2日制」と書いてあるからといって毎週2日休めるとは限らないのでよく確認してから応募するようにしましょう。

年末年始は休める?

会社によっては年末年始休暇を設けている運送会社もあります。ただ年末年始でも物流は止まらないので、年末年始を完全に休みにしている企業は少ないのが実態です。それでもシフト制で働くことが多い業界なので荷物や配達の状況をみながら、会社や他のドライバーと相談して交代で休暇を取れる会社もあります。また年末年始だけではなく通常時のシフト交代なども、状況によっては相談できる企業も多いようです。家庭の用事やプライベートの都合に合わせて休めることをアピールしている企業もあるので、プライベートの充実を大切にしたい方は求人内容の「休日欄」に注目してみてください。

休みが取りやすいトラックドライバーは?

一言で「トラックドライバー」といっても仕事内容は様々。休みが取りやすい職種があれば、取りにくい代わりに給与が高い、という職種もあります。「せっかくなら休みが取りやすい仕事がいい」と考える人もいると思います。ここでは比較的休みが取りやすいドライバーについて解説していきます。

短・中距離ドライバー

短距離・中距離ドライバーは一度に運転する距離が短く、比較的休みが取りやすいとされています。運転時間も短いので未経験でドライバーを始めようとしている人にもおすすめです。反対に長距離トラックドライバーは休みを取りづらい傾向にあるようです。運転距離が長く労働時間も長くなりがちなので、休日重視ではなく収入重視の方に向いているといえます。大型・中型・小型トラックといった車両のサイズは休日の取りやすさにはあまり関係はなく、あくまでも仕事内容次第なので「大型だから大変そう」「小型だからラクそう」と決めつけないようにしましょう。

大手の運送会社に所属するドライバー

大手の運送会社は休みを取りやすい傾向にあるようです。トラックドライバーの人数が多く融通を効かせやすいので、替わりのドライバーを立てられるからです。また、大手企業にはコンプライアンスの遵守が強く求められるため、違法にならないよう休日だけでなく社員の労働時間も徹底して管理されます。残業時間が法令の範囲内に収まるように配車を組み、残業代もしっかりと支給されるので安・安全な働き方ができます。しかしドライバーの中には細かく管理されたり、厳しい社内規則に縛られたりするのが嫌で大手は避けたい、という人もいるようです。自分がどのような働き方をしたいのか、どのような社内風土が自分に合っているのかをよく考えて転職先を探しましょう。

トラックドライバーの拘束時間のルール

会社が定める休みには「拘束時間」のルールが大きく関係します。「拘束時間」とは始業から就業まで休憩時間を含めて会社に拘束されている時間のことを指し、労働基準法によって拘束時間のルールが定められています。運転手だけでなく、どの業種でも労働者を守るために決められているルールですが、特に人手不足と言われている運送業ではルールを守れていない企業もあるのが現状です。労働者側としても法令を知っておくことは自分を守ることにも繋がるので、これを機に覚えておきましょう。

勤務後は8時間以上の休息時間を入れる

トラック運転手の労働時間等の改善を図るために改善基準告示が策定されおり、勤務を終えてから次の出勤まで連続して8時間以上の休息期間を設ける必要があります。これは様々な健康障害を発症しないように法律で定められているルールで、「休息期間」は睡眠時間を含む労働者の生活時間として、労働者にとって全くの自由な時間となります。また「休日」は休息期間プラス24時間の連続した時間のことを指し、この時間が30時間を下回ってはいけないと定められています。つまり休息時間8時間プラス24時間で32時間以上の連続した時間が「休日」となります。

1カ月の拘束時間は原則293時間

原則として1か月の拘束時間は293時間が上限と定められています。しかし、会社と労働組合などとの協定(36協定)があれば最大320時間まで延長できます。この延長は1年の内で6か月まで認められており、年間の拘束時間は3,516時間を超えてはならないと定められています。1日の拘束時間は原則13時間以内とされており、やむを得ない事情がある場合でも16時間が限度となっています。また、1日の拘束時間を13時間から延長する場合でも、15時間を超える回数は1週間につき2回までとされています。

まとめ

いかがでしたか?大変そうなイメージがある運送業界でも、運転手の安全を守るためにルールが定められていることが分かったと思います。しかし全ての企業で100%守られているかと問われると、残念ながらそうとは言えないでしょう。荷主との運賃交渉がうまく進まず、売り上げを確保するために長時間労働や休日出勤を強いられることもあるのが現状です。法改正による2024年問題もすぐそこに迫ってきており、労働時間や休日などドライバーの働きやすい環境整備が求められています。今から転職先を探す人、特に「休日重視で私生活を充実させたい」という方はその企業の労働環境はどうなっているのか、環境整備にどれほど力を注いでいるのか、よく調べることをおすすめします。