玉掛けとは?作業内容や必要な資格をわかりやすく解説!

「玉掛けは具体的にどんな作業をするの?」

「玉掛けをするのに特別な資格は必要?」

玉掛けに関する仕事に興味があり、転職を検討している人の中には、上記のような疑問を抱いている人もいるでしょう。

玉掛けとは、クレーンを使って重いものを吊り上げる作業のことです。

一方で、玉掛け作業を行うには、「玉掛け技能講習」や「玉掛け特別教育」といった資格が必要です。

本記事では、玉掛けの基礎知識から具体的な作業内容、資格の取得方法などを詳しく解説します。

合わせて、玉掛け資格を習得するメリットや玉掛け作業が向いている人なども解説します。

本記事を読めば、玉掛けについて理解が深まり、玉掛けの仕事に対する意欲が高まるでしょう。

玉掛けとは?

玉掛けは、クレーン作業を行う現場で重要な作業の1つです。

  • 玉掛け作業の定義と目的
  • 玉掛けの由来について
  • 玉掛けとクレーンの違い
  • 玉掛けが活躍する主な職場

次項で玉掛けについて上記の4つに分けて解説するので、ぜひ参考にしてください。

玉掛け作業の定義と目的

玉掛けとは、クレーンを使用して荷物を吊り上げる際に、クレーンのフックに吊り荷を掛けたり外したりする作業のことです。

重い荷物を吊り上げる作業は、吊り荷が落下したり、作業員が巻き込まれたりといった事故が起きる可能性があります。

そのため、玉掛けは、クレーンで安全に荷物を運搬するためには欠かせない作業です。

一方で、玉掛けは、吊り荷の重さや形状、作業環境に合わせて、適切な吊り具を選定し、安全な吊り方をしなければいけません。

そのため、玉掛け作業を行うには、専門的な知識と技術が必要とされ、多くの国で資格取得が義務付けられています。

玉掛けの由来について

玉掛けという言葉の由来は、掛け軸を掛ける際に、琥珀(こはく)や瑪瑙(めのう)などの宝石(=玉)を使ったことから来ていると言われています。

琥珀(こはく)や瑪瑙(めのう)などの宝石を掛け軸に掛ける作業と、クレーンのフックに荷物を掛ける作業が似ていることから、「玉掛け」と呼ばれるようになったそうです。

玉掛けとクレーンの違い

玉掛けは、クレーンのフックに吊り荷を掛けたり外したりする作業、または玉掛け作業を行う人を指します。

一方で、クレーンは、重い物を吊り上げたり、移動させたりするための機械、またはクレーンを操縦する(クレーンオペレーター)人を指します。

玉掛けが活躍する主な職場

玉掛け作業は、クレーンを使用する現場であれば、どこでも必要とされます。

主な活動場所は、下記の通りです。

  • 建設現場
  • 工場
  • 倉庫
  • 造船所

特に、ビルや橋などの建設現場では、建材や鉄骨などを吊り上げるために、玉掛け作業が頻繁に行われます。

また、大型機械の搬入・搬出や、製品の運搬など、工場や倉庫でも玉掛け作業は欠かせません。

さらに、玉掛けの資格があると、運送業の仕事でも活躍できます。

運送業の中には、クレーン付きのトラックで荷物の運搬を行うドライバーの仕事があるからです。

玉掛けの資格を活かして仕事をしたいという方は、トラックドライバー専門の転職求人サイト「ドラピタ」をぜひ活用してみてください。

玉掛けの具体的な作業内容・手順

玉掛けの具体的な作業内容・手順は、下記の通りです。

  1. 吊り荷にワイヤーロープまたはスリングを掛ける
  2. クレーンを呼ぶ
  3. フックにワイヤーロープまたはスリングを掛ける
  4. 吊り荷を少し巻き上げてから一旦止めて安全確認を行う
  5. 介錯ロープで誘導しながら巻き上げの合図を行う
  6. 安全確認後にフックから吊り荷を外す

次項で各手順の作業内容や注意点を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

吊り荷にワイヤーロープまたはスリングを掛ける

玉掛け作業の最初のステップは、吊り荷にワイヤーロープまたはスリングを掛けます。

ただし、安全に荷物を吊り上げるためには、適切なワイヤーロープやスリングを選び、掛け方が重要です。

例えば、重心が偏っていると、吊り上げ中に荷物が傾いたり、回転したりする可能性があります。

また、ワイヤーロープやスリングは、吊り荷の重さや形状に合った強度と長さのものを選ばないと、荷物が落下する危険性もあります。

吊り荷の重心、形状、材質を考慮し、安全に吊り上げるために適切なワイヤーロープやスリングを選び、掛け方を決めましょう。

クレーンを呼ぶ

吊り荷にワイヤーロープやスリングを掛けたら、クレーンを呼びます。

クレーンを呼ぶときは、フックが吊り荷の重心の真上に来るように誘導するのがポイントです。

なお、安全にクレーンを呼ぶために、下記を実施してください。

  • クレーンを呼ぶ前に、周囲に人がいないか、障害物はないかを確認する
  • クレーン運転手に伝わりやすいように、手信号やホイッスルで合図をする
  • クレーンが動く際は、十分に安全な距離を確保してから誘導する

上記の点に注意して、クレーンを安全に誘導しましょう。

フックにワイヤーロープまたはスリングを掛ける

クレーンのフックが吊り荷の真上に来たら、ワイヤーロープまたはスリングをフックに掛けます。

ただし、フックにワイヤーロープまたはスリングをかける際は、ワイヤーロープやスリングにねじれや緩み、損傷がないかを確認してください。

また、フックが正しくかかっているかも必ず確認しましょう。

ワイヤーロープやスリングに損傷があったり、フックが正しく掛かっていなかったりすると、吊り荷が傾いたり、落下したりする可能性があり非常に危険です。

事故を未然に防ぐために、完全確認を徹底しましょう。

吊り荷を少し巻き上げてから一旦止めて安全確認を行う

ワイヤーロープまたはスリングをフックに掛けたら、クレーンで吊り荷を少し巻き上げ、一旦止めてから安全確認を行います。

上記は、地切りと呼ばれる状態で、荷物を吊り上げても大丈夫かどうか、吊り荷の傾きやバランスなどを確認する工程です。

万が一、吊り荷がずれた場合に荷物を支えられるように、介錯ロープを使って安全確認を行いましょう。

介錯ロープで誘導しながら巻き上げの合図を行う

周囲の安全確認と333運動ができたら、介錯ロープで誘導しながらクレーン運転手に巻き上げの合図を出します。

333運動とは、吊り荷から3m離れて、地切り30㎝で一旦停止、3秒間停止して安全確認をする作業のことです。

吊り荷を巻き上げ中は、周囲の状況に注意し、作業員や障害物にぶつからないように注意しましょう。

安全確認後にフックから吊り荷を外す

吊り荷が指定の位置まで移動したら、周囲の状況や荷物の安全を確認し、クレーンのフックから吊り荷を外し、荷解きをしたら完了です。

玉掛け作業は、安全に作業を行うために、多くの注意点があります。

本記事で解説した作業内容や注意点を参考に、安全に作業を行いましょう。

玉掛けに必要な資格は2種類

玉掛けに必要な資格は、下記の2種類です。

  • 1t以上の玉掛け作業には「玉掛け技能講習」
  • 1t未満の玉掛け作業には「玉掛け特別教育」

玉掛けに必要な資格は、作業内容によって異なります。

次項で各資格について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

1t以上の玉掛け作業には「玉掛け技能講習」

1t以上の玉掛け作業には「玉掛け技能講習」を受講し、合格することが法律で義務付けられています。

玉掛け技能講習の一般的な内容は、下記の通りです。

  • 玉掛けの基本的な知識
  • ワイヤーロープやスリングの種類と選び方
  • 安全な吊り上げ方
  • 信号方法
  • 事故防止対策

上記の内容を学ぶことで、玉掛けの安全な作業手順や注意点などを学び、事故を防ぐための知識を習得できます。

1t未満の玉掛け作業には「玉掛け特別教育」

1t未満の玉掛け作業には、一般的に「玉掛け特別教育」を受講することが推奨されています。

しかし、現場によっては、玉掛け特別教育を受講していないと玉掛け作業ができない場合もあります。

そのため、玉掛け作業を行うのであれば、玉掛け特別教育を受講しておくのが無難です。

玉掛け特別教育の一般的な内容は、下記の通りです。

  • 玉掛けの基本的な知識
  • ワイヤーロープやスリングの取り扱い方
  • 安全な吊り上げ方
  • 事故防止対策

玉掛け技能講習に比べると、簡略化された内容ですが、玉掛け作業を安全に行うために必要な基本的な知識を学べます。

玉掛けに必要な資格の取得方法や費用について

玉掛けに必要な資格の取得方法や費用について、下記の2つに分けて解説します。

  • 玉掛け技能講習
  • 玉掛け特別教育

上記の2つの資格は、取得方法や費用が異なります。

玉掛け資格の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

玉掛け技能講習

玉掛け技能講習の取得方法や費用は、下記の通りです。

受講場所各都道府県の労働局に登録されている事業所(教習所や労働基準協会連合会など)
受講時間学科:12時間実技:7時間日数:3日間
費用20,000円程度

玉掛け特別教育や小型移動式クレーン運転技能講習などの資格を持っている場合は、学科や実技の講習時間を短縮できる場合があります。

また、費用に関しても、数千円程度安くなる場合があります。

玉掛け特別教育

玉掛け特別教育の取得方法や費用は、下記の通りです。

受講場所各都道府県の労働局に登録されている事業所(教習所や労働基準協会連合会など)
受講時間学科:5時間実技:4時間日数:2日間
費用15,000〜20,000円程度

玉掛け技能講習と異なり、修了試験はなく、講習を受講すれば資格を取得できます。

玉掛け資格を取得する3つのメリット

玉掛け資格を取得するメリットは、下記の3つです。

  • 建築現場や倉庫での就職が有利になる
  • キャリアアップに繋がる可能性がある
  • 仕事の選択肢が広がる

次項で各メリットについて詳しく解説するので、玉掛け資格の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

建築現場や倉庫での就職が有利になる

玉掛け資格は、クレーンを使った作業が欠かせない建築現場や倉庫で特に求められる資格です。

また、玉掛け技能講習は国家資格にも認定されています。

そのため、玉掛け資格を持っていると、他の応募者との差別化に繋がり、建築現場や倉庫への就職活動が有利になるでしょう。

キャリアアップに繋がる可能性がある

玉掛け資格を取得すれば、業務の幅が広がり、より責任のある仕事を任せられるようになる可能性が高まります。

例えば、作業の計画や指導、安全管理など、より専門的な業務に携わる機会が増えるかもしれません。

さらに、玉掛け資格を持っている人は、一般的に専門性が高く評価され、給与面でも優遇されるケースが多く、高収入に繋がる可能性もあるでしょう。

仕事の選択肢が広がる

玉掛け資格を取得すれば、仕事の選択肢が広がります。

建築現場や倉庫だけでなく、工場、物流業など、クレーンを使った作業を行う様々な業界で活躍できます。

また、独立して事業を行う場合にも、玉掛け資格は大きな武器になるでしょう。

例えば、建設現場で協力会社として働く、または自分の会社を設立して、玉掛け作業を請け負うといったことができます。

一方で、玉掛け作業が必要なクレーン付きのトラックのドライバーをすることも可能です。

ドラピタ」には、玉掛け資格が活かせるトラックドライバーの求人が多数あるので、運送業に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。

玉掛け作業が向いている人3つの特徴

玉掛け作業が向いている人の特徴は、下記の3つです。

  • コミュニケーション能力が高い人
  • 細かい作業が得意の人
  • 体力に自信がある人

玉掛け作業を安全に行うためには、様々な能力が求められます。

次項で玉掛け作業が向いている人の特徴について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

コミュニケーション能力が高い人

玉掛け作業は、クレーン運転手や周囲のスタッフと連携を取りながら、安全確認や指示のやり取りなど、様々なコミュニケーションを取る必要があります。

そのため、コミュニケーション能力が高い人は、玉掛け作業に向いています。

コミュニケーション能力が高い人なら、クレーン運転手に的確な指示を出したり、周囲の状況を正確に伝えたりなどがスムーズに行えるでしょう。

細かい作業が得意の人

玉掛け作業は、慎重かつ丁寧に進めなければいけません。

少しでも手順を間違えたり、安全確認を怠ったりすると、大きな事故に繋がる可能性があります。

そのため、細かい作業を正確かつ丁寧にこなせる人は、玉掛け作業に向いています。

細かい作業が得意な人なら、吊り荷の重心やバランスを正確に判断し、適切なワイヤーロープやスリングを選定するなども確実にこなせるでしょう。

体力に自信がある人

玉掛け作業は、体力を必要とする作業です。

特に、建築現場では屋外での作業が多く、暑さや寒さ、雨などの厳しい環境下で作業を行う場合もあります。

そのため、体力に自信のある人は、玉掛け作業に向いています。

玉掛けに関するよくある質問

玉掛けに関するよくある質問は、下記の通りです。

  • 玉掛けがいらない作業は?
  • 玉掛けとクレーンのセット講習とは?

次項で各質問に回答するので、ぜひ参考にしてください。

玉掛けがいらない作業は?

玉掛けがいらない作業は、下記の通りです。

  • ワイヤーロープやスリングなどをクレーンのフックに掛けたり外したりする作業
  • 荷物を吊り上げたときに、介錯ロープなどで荷物の振れを抑える作業
  • 玉掛けに必要な用具の点検

上記の作業は、玉掛けの有資格者の指示のもとであれば、資格を保有していない人でも行えます。

ただし、クレーンの誘導や巻き上げなどの合図、安全確認など、安全確保に関わる作業は、玉掛けの資格がないと行えません。

玉掛けとクレーンのセット講習とは?

玉掛けとクレーンのセット講習は、玉掛け技能講習とクレーン運転業務特別教育がセットになった講習のことです。

通常、玉掛け技能講習とクレーン運転業務特別教育を取得するためには、別々に講習を受講する必要があります。

しかし、セット講習なら、短期間かつ費用を抑えて両方の資格を取得できるというメリットがあります。

また、玉掛けとクレーン両方の知識を習得すれば、より効率的に玉掛け作業を進められるでしょう。

このセット講習は「名古屋南労働基準協会」など、さまざまな場所で実施されています。

玉掛けとはクレーン作業において欠かせない重要な仕事

玉掛けとは、クレーンを使って荷物を吊り上げる際に、安全に作業を行うための専門的な技術です。

玉掛け作業を行うためには、適切な資格を取得し、安全に作業を行うための知識と技術を身につける必要があります。

玉掛け資格を取得すれば、就職活動が有利になり、仕事の幅も広がります。

手に職をつけたい、またはクレーンを使う仕事に興味があるなら、玉掛けの資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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