トレーラーの運搬・運転に必要なけん引免許とは|免許の種類の違い

「体力的な負担が少ないとわれるトレーラードライバーに興味はあるけど…。詳しいことは何も知らない。」「牽引自動車はトラック1台だけの運転ではないから、ハンドル操作やバック走行など、運転すること自体が難しそう。」そんな方のために、今回はトレーラーの運搬・運転に必要な資格や免許について紹介していきたいと思います!

トレーラーの運転に必要な「けん引免許」とは

けん引免許とは、自走できる車や荷物などを載せたトレーラーをけん引する時に必要となる免許です。けん引免許は、けん引する自動車の種類に応じた運転免許とは別に必要となります。大型免許・中型免許・準中型免許・普通免許・大型特殊免許のいずれかを保有していなければ取得することができません。

例外として、故障車をロープ・クレーンなどでけん引する場合は、けん引免許は不要です。

また、けん引免許を取得するには、自動車教習所に通う場合と、運転免許センターでの一発試験の場合の2通りの方法があります。

そもそも「トレーラー」とは

トレーラーとは、トラクターやトレーラーヘッドと呼ばれる車によって、けん引される車両のこと言います。その中にも、自走するタイプのフルトレーラーと自走しないタイプセミトレーラーの2つが存在。トレーラーは動力を持たないため、自走しないタイプの場合、単体では動かすことはできません。トラックとは違い、車両本体にエンジンなどの動力を持っていないのです。けん引してくれる車両がないと動かすことができないため、トレーラーとトラクター、最低2台の車両が必要となります。そしてトレーラーのなかには、後輪のみ取り付けられている車両も!トレーラーの上に運搬する荷物も置くこともあります。

けん引免許(牽引免許)が必要なケース

けん引免許は、大型自動車、中型自動車、準中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車のいずれかの所持免許で、総重量が750kgを超える車両をけん引するときに必要になります。トレーラーをけん引するために欠かせない免許です。

また、公道で運転するのに必要な運転免許を「第一種免許」といい、この第一種免許のひとつに、けん引免許が位置づけられています。他の車をけん引するときや、大型トレーラーやタンクローリーなどのように、運転席と荷台がセットとなっている車を運転するときには、牽引免許が必要です。

けん引するトレーラーの種類

一度に多くの物を運べることがメリットであるトレーラーですが、一体どんな種類の物があるのでしょうか?

けん引するトレーラーには、主に「セミトレーラー」と「フルトレーラー」の2つの種類があります。セミトレーラーで多く利用されているのが全長16.5m以下、最大では全長18mまでのものです。輸送する内容によってスタンション型・あおり型・コンテナ型・バン型・タンク型などの種類があります。その他、更に大きな荷物を運ぶときには全長21mが上限であるフルトレーラーや専用のトレーラーを利用することがあります。

「スタンション型」は荷台がフラットになっているため、原木や鋼材、コンクリート製品などを運ぶことが可能です。「あおり型」では固縛が出来るので河原や雑貨などを運びます。「 コンテナ型」は海上コンテナを輸送するトレーラです。似たもので言うと「バン型」という箱形のトレーラーもあり、冷凍や冷蔵に対応したものなど様々なタイプがあります。「タンク型」では液体燃料などが主に運ばれ、骨付きのほろがついた「ほろ型」では荷物が雨などに濡れないように運搬できますし、「自動車運搬型」では車両を運ぶことが可能です。その他、特殊トレーラーがあり、様々なものが輸送されます。

セミトレーラー

セミトレーラーとは前輪が無く、後輪だけがついているトレーラーのことを言い、日本で使用されることの多いタイプの牽引車です。セミトレーラーは、トラクターに連結して走ることを前提として作られており、前輪がなく後輪のみの構造となっているため自走はできません。

ちなみにセミトレーラーは、補助輪と呼ばれるものを地面に接地させることで自立可能です。

フルトレーラー

フルトレーラーとは前輪と後輪がついており、自重を支えることができます。セミトレーラーと比較して車体が大きい場合が多いです。また、複数連結して運送できるのもフルトレーラーの魅力のひとつ。種類によってトレーラーを分けることで、搬送量が多い場合などに便利です。日本ではあまり見かけないフルトレーラーですが、連結を使うことでセミトレーラーよりも多くの荷物を1度に運ぶことができるメリットがあります。

基本的に、自走はできますが運転するにはけん引免許も必要となるので要注意です。

トレーラーを運ぶために必要なけん引免許の種類

先ほども述べた通り、すでに免許証を取得している場合、『自動車教習所に通う』or『運転免許センターでの一発試験』の2通りの方法でけん引免許を取得することができます。

自動車教習所でけん引免許を取得する場合は、まずは入校したうえで、適性検査や視力・聴力をチェックする運転適性検査に合格する必要があります。最短12時間の技能教習を受け、試験場にて行われる卒業検定(技能試験)に合格すると、けん引免許を取得できます。なお、学科試験はありません。合宿免許の場合も基本的には同じ流れです。取得費用については教習先によって異なりますが、一般的には10数万円~となっています。自動車教習所に通学するのか、合宿で自動車教習を受けるのかによっても料金は変わりますので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

一発試験の場合は、都合のよい日に運転免許センターで技能卒業検定を受験し、合格後に受ける適性検査もクリアすれば、牽引免許を取得できます。教習所を利用する場合と比べて教習時間がかからず、教習料金も試験代の約6,000円と低額です。ただし、教習所と異なり、免許を取得するには、ご自身で技能を身につける必要があります。

また、牽引免許はそれぞれの種類に応じて、取得方法や特徴、試験の費用や内容も違います。

合格率も第一種は約80%、第二種は約20%と開きがありますが、一度取得しておけば運送業や物流業界で長く活躍することが可能です。キャリアアップを目指す人にはけん引免許の取得をおすすめします。

けん引第一種免許

けん引第一種免許は貨物トレーラーやキャンピングカー、台車に乗せた荷物などを乗用車に連結して移動させる場合に必要となる免許です。3種類のうちで最も取得率・合格率が高く、一般的に牽引免許といえばこの免許を指します。

けん引免許を取得するには、視力や聴力に一定のレベルが求められます。具体的には、視力は両目で0.8以上(片眼0.5以上、眼鏡、コンタクトレンズ使用可)、色彩識別能力において交通信号機の色が識別できること、深視力が2.5メートルの距離で3回検査し、その平均誤差が2センチ以下であることを条件としています。深視力とは、通常の視力検査では測れない能力で、物の遠近感・立体感・奥行をとらえる目の能力のことです。運転時には、車間距離やカーブでのガードレールとの距離感を測るなど無意識に使っています。深視力が備わっていないと事故の危険性が高くなるため、免許取得時と更新時には必ず検査が必要です。

また、所持している自動車運転免許によって、けん引できる車両重量が変わってきます。

さらに、一般道における自動車の法定速度は60km/hですが、ロープ、クレーンなどで牽引を行う場合は、法定速度が変わるので注意が必要です。

免許の種類

車両総重量

最大積載量

乗員定員

受験資格

普通自動車免許

3.5トン未満

2トン未満

10人以下

18歳以上

準中型自動車免許

7.5トン未満

4.5トン未満

10人以下

18歳以上

中型自動車免許

11トン未満

6.5トン未満

29人以下

20歳以上

免許期間2年以上

大型自動車免許

11トン未満

6.5トン未満

30人以上

21歳以上

免許期間3年以上

けん引第二種免許

「牽引第二種免許」の最大の特徴は、営利目的で人を乗せて運ぶことができる点。電車のように連結できるトレーラーバス(観光バス)の運転に必要な免許です。取得条件は、人を乗せて営業利益を得る特性上、第一種よりも厳しく定められており、難易度も高くなっています。

満21歳以上で、第一種運転免許のいずれかを取得後通算3年以上の日数が経過していること、かつ牽引第一種免許もしくは第二種運転免許を受けていることが条件です。

視力や聴力に関しては、第一種と内容に変更はありません。

けん引小型トレーラー限定免許

「牽引小型トレーラー限定免許(ライトトレーラー免許)」は、750キロ~2000キロ以下のトレーラー限定で牽引できる免許です。この免許は、自動車学校では講習や試験を受けられません。取得したい場合は事前に運転免許試験場に連絡し、試験車両を持ち込む必要があります。

受検者は運転ができないので、牽引免許を持っているドライバーにトレーラーの運転を頼んでもらう必要があります。

トレーラーの運搬・運転に必要なけん引免許とは|免許の種類の違いのまとめ

いかかですか?トレーラードライバーへの転職のヒントとなりましたでしょうか。

レジャーなどでキャンピングカーやキャンピングトレーラー、レジャーボートなど、牽引車を運転する機会があるかもしれません。その際には、けん引免許が必要になるかを確認することが大事です。

また、コツを掴めばトレーラーの運転も、大型トラックや大型特殊自動車などの運転と、さほど差を感じることなく運転できるようになりますよ。

今回はトレーラーの運搬、運転に必要なけん引免許について解説しました。仕事選びの参考にしてみてくださいね。

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